120327-メンテナンス


どもども。

【維持】

”継承”の2回目です。
ライフサイクルコスト(LCC)という言葉を聞いたことありますか?モノが生まれてから廃棄されるまでの間にかかるコストのことです。建築でもこのライフサイクルコストというものを考えます。

建築計画の中で「安く」という概念がいつ頃からメジャーになったかわかりませんが、とにかく「安い」が「良い」となっている現代の傾向ですよね。
さてさて、本当に「安い」モノが「良い」モノなのか。
日本の首都近郊での住宅の平均寿命は約40年といわれています。これは古くなってボロボロになるというものではなく、単純に建てて取壊されてしまうまでの平均です。ボロボロになってしまったものもあるでしょうし、やむなく引越したりして解体されたり、原因は様々ですが、意外に短いと思います。古くから存在する寺社仏閣などは数百年の時を生き抜いています。その差はなんなのか?
一つは、初期の建築費用(イニシャルコスト)の違いがあります。材料も手間も時間も、たいへんな差があるので、コストもそうですし、建物の質自体が違います。
もう一つは、維持費(ランニングコスト)の違いです。寺社などは定期的に大改修が行われます。それに比べて家は、個人の力に委ねられています。もし、ランニングコストを掛けなければ著しい速度で家は傷んでいきます。
さらにいえば、伝統・慣習の希薄化があります。家が親一代でなくなってしまう・・・というのも現代の傾向でしょう。
こうした様々な原因で家の寿命は短くなってきているように感じます。

家のライフサイクルコストの内、イニシャルコストは約25%、ランニングコストが約60〜70%、廃棄処分費が約5%となっているそうです。このパーセンテージの面白いところは、100%での金額があまり変わらないところです。ようするに、イニシャルコストを抑えてもランニングコストが余計にかかってしまう、ということです。あくまで統計的な話ですが、案外理にかなっています。安い素材はその分、メンテナンスが必要であったり、耐久性が低かったりして修繕などにコストがかかります。逆に高めの素材は、高いだけあってメンテナンスが少なく済んだりします。もちろん、万物には当てはまりません。なんとなくそんなものの方が多いと思っていただければよいです。
建てる時にはメンテナンスまで考える人は少ないと思います。あたくしもなかなかそのような建主さんにはお会いしません。ですが、”維持する”という作業はとてもたいへんなことを知っているので、我々はそこまで考えて設計しています・・・いるつもりです。大概、「安く!」と言われ却下されるのですが・・・。

ということで、「安さ」は必ずしも「良い」にはつながりません。結局のところは、それなり、なのだと思います。

建物は建てて終わりではありません。建ててからスタートします。その後に掃除やメンテナンスを続けることで維持されていきます。”維持”という作業は地道で長い作業です。ですがこのことが建物にとってはとても重要なんです。
家は、大きくて高い買い物です。それを大切にする気持ちや長く使い続けることを皆さんには期待したいです。維持する作業を続けることで、伝統も守られます。新しいものを受け入れることだけでなく、物事を続けていくということも人にとっても家にとっても大切な作業です。
あたくしも掃除嫌いですが、きちんと愛着を持って家に接しないといけないですね。

次回は【伝承】です。建築文化は、歴史、の一つだと思います。残る建築、残していく建築、というものを考えてみたいと思います。
RGでした。
<(__)>rg

ではでは。

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